あえてブラック企業にはどんなメリットがあるのか考えてみます。
ブラック企業のメリットは「3つ」ほど。
ブラック企業のメリットを考えてみると、3つほど思い浮かびます。
- 消費者が安価にサービスや物を買うことができる
- 経験の無い労働者が就職できる
- 経営者や株主が暴利を貪ることができる
①消費者が安価にサービスや物を買うことができる
まずメリット①について、ブラック企業が生み出すサービスや物を消費者が安価で買うことができます。
サービスや物には「人件費」が含まれていますが、ブラック企業ではサービス残業や給与を低く抑えることで、提供するサービスや物の価格を抑えることができます。
これにより消費者は本来の価格よりも低い値段で物を買うことができるというメリットがあります。
②経験の無い労働者が就職できる
メリット②について、ブラック企業は人材が集まりにくい、集まっても辞めやすいという特徴があります。
そのため未経験者もドンドンと雇います。
これは裏返して言えば、未経験者にとってはその職種で職務経歴を得るにはブラック企業が役に立っているとも言えます。
一般的な企業では新卒以外で未経験者を雇うということはあまり無いですから、ブラック企業が受け皿になっているというメリットは否定できないでしょう。
しかし、ブラック企業で生活していけるのか、健康が保てるのかという話は別です。
③経営者や株主が暴利を貪ることができる
最後にメリットの3つ目です。
企業経営者や株主が本来よりも安く従業員を利用でき人件費が浮きますから、より多くの収入を得ることができからです。
企業経営者は費用の中でも大きい人件費を削りたいと考え、サービス残業や最低賃金以下の労働をさせることで、費用を安くできます。
それを商品価格に反映させれば商品の値段を安くすることができ、他社との競争力もつきます。
また人件費が安ければ利益(売上ー経費)が増えますから、会社の業績も良く見せることができます。
株主は企業の収益が増えれば配当が増えますから、株主にもメリットがあります。
ブラック企業で最も得をしているのは「経営者層」
ブラック企業のメリットを享受できるのは誰かと言えば、「経営者層」ではないかと言えます。
経営者層は
- 自分の会社では会社員を本来よりも安く利用できる
- 消費者としては安く買うことができる
という2つのメリットがあります。
一方、労働者としては
- サービス残業や最低賃金以下など給料以上に働く必要があるというマイナス点
- 消費者として商品を安く買えるというプラス点
があり、プラマイ0と言えます。
つまり、会社員としてはブラック企業で働くことでマイナス面があり、会社を出て消費者になれば物を安く買えるというプラス面があります。
そう見ると、ブラック企業で1番メリットがあるのは「経営者層」と見ることができます。
経営者層も労働違反があれば、社会的責任を負う可能生がある
ブラック企業の経営者層もメリットばかりではなく、横暴な経営が続けば労働基準監督署などにマークされることや社会的に評判が広がり、会社に人が集まらなくなり事業の継続が困難になることも考えられます。
ただこうなるには労働基準監督署が厳正に経営をチェックすることや社会的にブラック企業の情報が伝わる仕組みが必要になります。
ブラック企業はミクロで見れば利点はあっても、マクロで見ると「危険」かもしれない
ブラック企業のメリットをいくつか述べ、それを享受するのは「経営者層」だとここでは述べてきました。
確かにブラック企業は細かく見るとメリットもありますが、そのブラック企業がのさばると日本社会全体としては悪影響もあるのではないかと思います。
以前の記事で書いたように、「人がなぜ働くのか」と言えば「家族や集団のため」ですから、その本質から非常にズレていると言えます。
ブラック企業はこの「家族や集団」を無視して儲けに走るので、社会全体の安寧を崩すと思われます。
こういった会社には真っ当な企業が立ち向かうことができず、結局はブラック企業だけが生き残るという地獄絵図も考えられるからです。
秩序や規範、ルールというものが厳正に守られないと、それが一企業のことであっても全体に波及していくのだろうと思っています。